年末調整における生命保険料控除と地震保険料控除の適用漏れを防ぐためのポイント

■経理・人事担当者向けチェックポイント

従業員から提出された申告書や証明書に不備がないかを確認し、控除漏れを防ぐためのポイントです。

1. 控除証明書の「提出漏れ」のチェック
  • 提出期限の周知徹底: 従業員に対し、毎年10月下旬から11月上旬にかけて各保険会社から郵送される控除証明書の重要性を改めて周知します。
    • 特に、証明書が電子化されている場合(電子データでの提出を認めている場合)は、その提出方法も明確に伝えます。
  • 台帳との突合(昨年との比較): 前年の年末調整で生命保険料控除や地震保険料控除を受けていた従業員について、今年は証明書が提出されているか、名簿と突合して確認します。
    • 毎年控除を受けている人が提出を忘れている場合、個別に確認を促します。
2. 申告書への「記入漏れ・記入ミス」のチェック
  • 契約者の確認: 生命保険料控除は、保険料を支払った人が控除を受けられます。申告書の「契約者名」と、給与を支払っている従業員名が一致しているか確認します。
  • 新・旧制度の区分: 生命保険料控除には「一般」「介護医療」「個人年金」の区分に加え、旧制度と新制度の区分があります。
    • 各区分で正確な控除額が計算されているか、証明書の「区分」を確認して照合します(特に旧制度の契約がある場合、控除額の上限が異なるため)。
  • 年間支払保険料の合計額: 控除証明書に記載された年間支払済額または申告額が、申告書に正確に転記されているかを確認します。

■従業員・個人事業主向けチェックポイント

ご自身が最大限の控除を受けるために、必ず確認すべき事項です。

1. まずは「控除証明書」を絶対に紛失しない!
  • 保管場所の確認: 毎年10月〜11月に保険会社から届くハガキまたは封書(電子証明書の場合はメール)を、年末調整が終わるまで大切に保管し、勤務先に提出してください。
  • 紛失時の対応: もし紛失した場合は、すぐに保険会社に再発行を依頼してください。再発行には時間がかかるため、11月上旬までには手続きを始めることが重要です。
2. 「対象となる契約」と「控除を受けられる人」を正しく理解する
  • 【生命保険料控除】
    • ポイント: 契約者ではなく、実際にその保険料を支払った人が控除を受けられます。配偶者や子の名義の保険でも、あなたが口座から支払っていれば控除対象です。
    • 注意点: 控除の限度額は、各区分(一般・介護医療・個人年金)ごとに決まっています。
  • 【地震保険料控除】
    • ポイント: 自己または生計を一にする親族が所有し、常に居住している家屋や家財にかかっている保険料が対象です。
    • 注意点: 事務所専用の建物や、空き家になっている不動産にかけている保険は対象外です。
3. 申告書への正確な記入
  • 複数の契約の合計: 生命保険を複数契約している場合、控除証明書を見ながら、各区分の保険料をすべて合計して申告書に記入してください。一つでも書き漏らすと、その分の控除が受けられなくなります。
  • 証明書通りに転記: 控除証明書に記載されている「新・旧」の区分、「一般・介護医療・個人年金」の区分、そして「年間支払保険料」の金額を、申告書の該当欄に正確に転記しましょう。

年末調整で申告し忘れた場合でも、翌年に確定申告をすることで控除を受けることは可能ですが、手続きが煩雑になります。スムーズに適用を受けるため、11月中の証明書の準備と確認を徹底しましょう。