9月から始める確定申告準備。年末に慌てないための習慣
個人事業主やフリーランスにとって、確定申告は毎年必ず訪れる大きな業務です。
しかし、2月・3月の直前期にまとめて作業を行うと、領収書の紛失や入力漏れ、資金繰りの見落としなど、思わぬリスクを抱えることになりかねません。
9月は事業年度の折り返しにあたるタイミングです。この時期から計画的に準備を始めておくことで、年末の繁忙期を落ち着いて迎えることが可能になります。税理士の立場から押さえていただきたい習慣をご紹介します。
1. 領収書・レシートは月別で整理する
領収書を一括で溜め込むと、後からの仕分けに多大な時間を要します。月別フォルダや封筒を用意し、「9月分」「10月分」と明確に分けて保存してください。
また、クラウドストレージや会計アプリを利用したデジタル保存も有効です。いずれの方法でも「月単位で区切る」ことが効率化の鍵となります。
2. 売上・経費を定期的に会計ソフトへ入力する
クラウド会計ソフトを導入されている場合は、銀行口座やクレジットカードとの連携を活用し、定期的に仕訳を確認する習慣を持ちましょう。
数か月分をまとめて処理するよりも、毎月確認する方が誤りに気付きやすく、修正も容易です。
3. 経費性が不明な支出をメモしておく
「経費になるかどうか判断がつかない支出」は、メモや付箋を付けて保管しておくと後の確認がスムーズです。申告直前に迷うのではなく、早めに税理士へ相談することで、判断の誤りを防ぐことができます。
4. 消費税の取扱いを把握しておく
インボイス制度の開始により、消費税の取扱いは個人事業主にとっても重要性を増しています。
- 課税事業者か免税事業者か
- 消費税納税額の概算
- 納税資金の積立状況
これらを定期的に確認し、将来の資金繰りに備えることが大切です。
5. 年末支出と納税資金を想定する
年末は交際費や広告宣伝費が増える傾向にあります。さらに、所得税・消費税などの納税も重なります。9月の段階で資金繰りをシミュレーションし、必要に応じて毎月一定額を積み立てておくことを推奨します。
まとめ
確定申告は「直前にまとめて行うもの」というイメージが強いですが、実際には日々の積み重ねと早めの準備が、正確性と効率性を大きく高めることにつながります。
- 月別の領収書整理
- 会計ソフトへの定期入力
- 経費性の判断記録
- 消費税・資金繰りの確認
これらを9月から実行していただくことで、年末・年始を慌ただしく過ごすことなく、安心して確定申告に臨むことができるはずです。