開業届と青色申告承認申請書はいつ出せばいい?
個人事業を始めたばかりの方からよくいただく質問のひとつが、
「開業届と青色申告の申請って、いつまでに出せばいいの?」というものです。
■ 開業届は「開業から1ヶ月以内」に提出
まず、「開業届」(正式名称:個人事業の開業・廃業等届出書)は、開業日から1ヶ月以内に税務署へ提出することになっています。提出が遅れても罰則はありません。
ただし、次に説明する「青色申告の申請」に間に合わなくなる可能性があるので、できるだけ早めに出すのがおすすめです。
■ 青色申告承認申請書は「原則3月15日まで」か「開業から2ヶ月以内」
青色申告とは、一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする方については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる制度です。
青色申告には、以下の主な特典があります。
①青色申告特別控除:確定申告書をその提出期限(確定申告期限)までに提出している場合には、原則としてこれらの所得を通じて最高55万円を控除、加えて、電子帳簿保存またはe-Taxによる電子申告を行っている場合は、最高65万円の青色申告特別控除できる。
②純損失の繰越しと繰戻し:純損失の金額が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除できる
③青色事業専従者給与:事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入できる
④貸倒引当金:年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5パーセント以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額を必要経費に算入できる
青色申告をするには、「青色申告承認申請書」の提出が必要です。提出期限は以下のどちらか、状況によって変わります。
1. 受けようとする年の3月15日までに提出
2. 今年から開業する場合は 開業日から2ヶ月以内に提出
■2つの書類は同時に出すのが基本
青色申告を希望するなら、開業届と青色申告承認申請書は同時に出すのがスムーズです。
開業届 → 税務署に「事業を始めました」と伝える書類
青色申告承認申請書 → 税務署に「青色申告を使いたいです」と伝える書類
青色申告の特典(65万円控除など)もスムーズに受けられます。
■ 出し忘れたらどうなる?
万が一、青色申告の申請を出し忘れた場合は、その年は白色申告になります。
青色申告の65万円控除や赤字の繰越などのメリットは受けられません。
ただし、翌年以降の適用を希望する場合は、再度期限内に申請すればOKです。
■ 提出方法は?電子申請も可能!
書類の提出は以下の方法があります。
1. 税務署に直接持参
2. 郵送
3. e-Tax(電子申請)
■ まとめ
開業届は開業から1ヶ月以内、青色申告承認申請書は開業から2ヶ月以内 or 3月15日まで税務署に提出
開業後にバタバタしがちなこの2つの書類ですが、早めに提出しておくことで、税務上のメリットも大きくなります。
「気づいたら期限を過ぎていた…」というご相談を受けることもあります。
提出自体はそれほど難しくありませんが、最初にしっかり準備しておくことで、後の節税や資金繰りに大きな差が出ます。
お困りの場合は、お気軽にお問い合わせください。