売上が〇〇万円超えたら消費税の課税事業者になる?【2年前の売上がカギ】


「今年の売上が1,000万円を超えそうなんですが、来年から消費税を納めないといけないんですか?」そんなご相談を受けます。

結論から言うと、「売上が1,000万円を超えた=すぐに消費税を納めることになる」わけではありません。
実は、2年前の売上(基準期間)がポイントになります。

■消費税の納税義務があるのは「課税事業者」
個人事業主や法人でも、条件を満たせば「免税事業者」として消費税の納税義務が免除されます。反対に、消費税を納める義務があるのが「課税事業者」です。

■基本ルール:「2年前の売上が1,000万円超」で課税対象
消費税の納税義務は、原則として2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えているかどうかで判定されます。

例:
2025年 → 納税義務があるかを判定

基準期間:2023年(個人事業主の場合)

▽ もし2023年の売上が:
980万円 → 免税事業者(納税なし)

1,020万円 → 課税事業者(納税あり)

■法人も同じく「設立2期前」が基準期間
法人の場合も「基準期間」は設立から2期前になります。
ただし、設立1期目・2期目は特別な判定方法があります。

■例外:資本金1,000万円以上で設立した法人は即「課税事業者」
新しく会社を作った場合でも、資本金が1,000万円以上で設立した法人は最初から課税事業者になります。

■もう一つの判定:「特定期間」での売上や人件費が1,000万円超
基準期間で免税でも、「特定期間(前年の1月1日~6月30日)」の以下のいずれかが1,000万円を超えると、翌年は課税事業者になる可能性があります。

①課税売上高が1,000万円超

②給与支払額が1,000万円超

■インボイス制度と免税の選択
2023年から始まったインボイス制度では、「免税事業者だと取引先に消費税を請求できない(仕入税額控除ができない)」というデメリットがあります。

そのため、売上がまだ少なくてもあえて課税事業者を選択する人も増えています(=課税事業者選択届出書を提出)。

■まとめ:課税事業者になる基準

判定タイミング判定基準結果
原則2年前の課税売上高が1,000万円超課税事業者になる
特例前年1~6月の売上 or 給与が1,000万円超課税事業者になる可能性
設立時資本金1,000万円以上初年度から課税事業者


売上1,000万円が一つの基準ですが、実際には年度の途中で取引先から「インボイス登録してますか?」と聞かれて初めて気づくことも多いです。

判断が難しい場合は、税理士に早めに相談することで不要な納税やトラブルを避けることができます。