夏のボーナス、正しく処理してますか?

夏といえば「ボーナス(賞与)」の季節。
従業員に喜ばれる一方で、経理・税務処理が意外とあいまいになっている会社も少なくありません。

今回は、中小企業の社長・経理担当者向けに、ボーナスの正しい処理方法と、法人税との関係をやさしく解説します。

1. ボーナスの仕訳と経費処理はどうなる?

→ 給与と同様に「損金(経費)」になります

ボーナス(賞与)も、通常の給与と同じく**損金(法人税計算上の経費)**になります。

▼ 仕訳の例(従業員に支給):
賞与支給時:
 賞与手当 ××円 / 現金(普通預金) ××円
          預り金(源泉税・社保等) ××円

2. 社長・役員へのボーナスは注意!

ここが一番の落とし穴です。

■ 原則として「損金不算入(=経費にならない)」

法人が社長や役員にボーナスを出しても、原則として法人税上は経費になりません。

■ 損金にできるのは「事前確定届出給与」の場合のみ!

以下の要件を満たす場合に限り、損金にできます:

  • 支給額、支給時期をあらかじめ「事前確定届出給与」として税務署に届け出る
  • 届出内容通りの金額と日にちで支給する

※届出期限は「事業年度開始から4か月以内」または「定時株主総会から1か月以内」のいずれか早い日です。

例:6月末決算 → 届出期限は10月末(通常は9月開催の株主総会が多い)

3. 社会保険料・源泉所得税も忘れずに!

賞与にも、以下のものが必ず発生します

  • 社会保険料(厚生年金・健康保険など)
  • 雇用保険料
  • 源泉所得税
■ 社会保険は「賞与支払届」の提出が必要!

賞与支払日から5日以内に、年金事務所や協会けんぽ等に「賞与支払届」を提出します。

4. 法人税との関係は?

ここまでの処理が正しく行われていれば、従業員への賞与は損金(経費)となり、法人税の節税効果があります。

一方、役員賞与を誤って処理してしまうと、税務調査で否認される可能性もあるため注意が必要です。

■ まとめ:ボーナス処理のチェックポイント

チェック項目内容
損金処理従業員:OK/役員:原則NG(届出必要)
税務署への届出役員賞与は「事前確定届出給与」の事前届が必要
社会保険賞与支払届の提出を忘れずに
源泉所得税通常の給与と同様に源泉徴収

ご不安な方はお気軽にご相談ください

「うちは届出してたっけ?」「仕訳があいまいで不安」など、
賞与に関する処理で気になる点がある方は、税理士に相談することで損金否認や税務トラブルを未然に防ぐことができます。