【消費税】原則課税と簡易課税の違いって?

インボイスの2割特例の適用期間が明ける前に検討しておかないといけない、消費税の課税方式。

その違いについて、簡単に説明します。

1. 原則課税方式

  • 仕組み
     「売上で預かった消費税」 - 「仕入や経費で支払った消費税」 = 納税額
  • ポイント
     実際の取引ベースで計算するので正確
  • メリット
     経費や仕入が多い場合、支払った消費税を差し引けるので有利
  • デメリット
     帳簿・インボイスの保存が必要で、事務負担が大きい

⇒小売業・製造業など「仕入が多い業種」に向いている。大型の固定資産の投資等がある場合は、有利な場合がある。

2. 簡易課税方式

  • 仕組み
     「売上で預かった消費税」 × (1 − みなし仕入率) = 納税額
  • みなし仕入率(業種ごとに固定)
     - 卸売業:90%
     - 小売業等:80%
     - 製造業等:70%
     - 運輸通信業、金融業、保険業、サービス業(飲食店業除く):50%
     - 不動産業:40%
     - 上記以外(飲食店業等):60%
  • メリット
     仕入税額控除の計算が不要 → 簡単
  • デメリット
     実際の仕入割合が「みなし仕入率」より多いと損になる

⇒ サービス業・士業など「経費が少ない業種」に有利になりやすい。

3. 選択の注意点

  • 事前届出が必要
     簡易課税は「適用を受ける旨の届出書」を事業年度開始の前日までに提出しなければ使えない
  • 原則課税への戻しは2年間使ってから
     一度選んだら2年間は継続しないといけない
  • 基準期間における売上が5,000万円超は簡易課税を使えない

4. まとめ

  • 原則課税 → 正確だが事務負担が重い/仕入が多い業種向き
  • 簡易課税 → 簡単だが概算計算/経費が少ない業種向き
項目原則課税方式簡易課税方式
計算方法売上の消費税 − 仕入・経費の消費税売上の消費税 × (1 − みなし仕入率)
対象者すべての課税事業者基準期間(2年前)の売上が5,000万円以下の事業者のみ
メリット実際の支払消費税を控除できるので正確仕入・経費が多い業種に有利事務が簡単。領収書・インボイスのチェックが不要。経費が少ない業種に有利
デメリット帳簿・請求書の保存が必要事務負担が大きいみなし仕入率より実際の経費が多いと損する。一度選ぶと2年縛りがある
向いている業種小売・卸売・製造など仕入が多い業種士業・コンサル・デザイナーなど経費が少ない業種
選択方法自動的に原則課税「簡易課税制度選択届出書」を事前提出(翌期から適用)